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B.C.4頃、イエス・キリストが誕生した。彼はバプテスマのヨハネから洗礼を受けた後、
神の国を述べ伝え、多くの奇跡を行ったが、A.D.30頃、私達の罪のあがないのため、
十字架にかかり、死んで葬られ、3日目に死者の中から復活した。 新約聖書の他にユダヤ人やローマ人の記録を調べることにより、 イエスの復活が真実であることが分かる。このことを次の順序に従い説明していこう。 @イエスが実在の人物であること Aイエスが確実に死亡したこと Bイエスが復活した後、死体がないこと C復活の証人がいること 以下、単に「ユダヤ古代誌」という時は、フラウィウス・ヨセフス ユダヤ古代誌 ちくま学芸文庫 秦剛平訳 を指すものとする。また、単に「ユダヤ戦記」という時は、 フラウィウス・ヨセフスユダヤ戦記 ちくま学芸文庫 秦剛平訳 を指すものとする。 |
5-1 イエスは実在の人物 |
(1) | 新約聖書の記述 |
新約聖書の福音書、使徒言行録他はイエスが実在していたことを記述している。 | |
(2) | ユダヤ人の記述 |
ユダヤ人歴史家フラウィウス・ヨセフスがユダヤ古代誌の中で、
イエスの存在を記述している。なお、ヨセフスは、
ユダヤの複数の裁判に関する記録を入手し、ユダヤ古代誌に記述している。 ・イエスがピラトの手により十字架の刑を受けたこと(ユダヤ古代誌6, P.034) ・イエスの兄弟ヤコブが裁判にかけられたこと (ユダヤ古代誌6, P.291) | |
(3) | ローマ人の記述 |
ローマ人歴史家タキトゥスが年代記の中で、クリストゥス(キリスト)について、 次の記述をしている。「そこでネロは、この風評(彼がローマに放火を命じたこと) をもみ消そうとして、身代わりの被告をこしらえ、これに大変手の込んだ罰を加える。 それは、日頃から忌まわしい行為で世人から恨み憎まれ、「クリストゥス信奉者」 と呼ばれていた者たちである。この一派の呼び名の起因となったクリストゥスなる者は、 ティベリウスの治世下に、元首属史ポンティウス・ピラトゥスによって処刑されていた。」 (タキトゥス 年代記(下) 岩波文庫 国原吉之助訳 P.269) | |
新約聖書の著者、ユダヤ人、ローマ人と立場の異なる者が、 全てイエスは実在の人物であると記述していることから、 イエスの実在に疑問をはさむ余地は無い。 |
5-2 イエスは確実に死亡 |
(1) | 新約聖書の記述 | |
新約聖書は、イエスはローマ兵により十字架につけられ、その後、槍でわき腹を刺され、
血と水が流れた、と記述している(ヨハネ19)。 ローマ軍の兵隊は、日常的に軍事訓練を行っており、 軍規により戦列から離脱するばかりでなく、任務の手抜きでも死刑に処せられたため、 他の国の兵隊と比べ規律性が非常に高かった(ユダヤ戦記2−P.28,35)。 つまり、ローマ軍の死刑執行人はプロフェッショナルであり、被死刑人が死ななければ、 死刑執行人が責任を問われるため、イエスが死亡したことは確実である。 (右の絵は、十字架から降ろされるイエス:レンブラント) | ||
(2) | ユダヤ人の記述 | |
前述のヨセフスは、ユダヤ古代誌の中で、イエスが十字架の刑を受けた、 と記述している。 | ||
(3) | ローマ人の記述 | |
前述のタキトゥスは、年代史の中で、
イエスがポンティウス・ピラトゥスによって処刑されていた、と記述している。
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新約聖書、ユダヤ人、ローマ人と立場の異なる者が、 全てイエスが処刑された旨を記述していることから、 イエスが死亡したことに疑問をはさむ余地は無い。 |
5-3 復活後、死体がない |
(1) | 新約聖書の記述 |
新約聖書の福音書は、イエスの復活後、 最初に婦人達が墓を見たがイエスの死体がなかった旨を記述している。 | |
(2) | イエスに反対して十字架につけるよう要求した人々 |
イエスに反対して十字架につけるよう要求した人々は、
イエスの弟子達からイエスの復活の話を聞いたが、
それに対して、イエスの死体を示せずにいる。 | |
イエスの復活を述べ伝える人々、及びイエスに反対して十字架につけるよう要求した人々、 共にイエスの死体がないことに異論を唱えていない。 |
5-4 復活の証人 |
(1) | イエスの弟子達 |
イエスがパリサイ人や祭司に捕らえられた時、弟子達は散り散りになって逃げた。
イエスがローマ兵により十字架につけられた時、彼らは遠くから見ていた。
ユダヤの宗教の権威者と時の権力者ローマが共同してイエスを十字架につけたため、
師を失った弟子達は、気力を失い、何も出来ずに深く沈んでいた。 イエスが復活しなかったならば、イエスの物語はここで終わっていたであろう。 しかし、イエスが復活し、自分の姿を見せ、意気消沈していた弟子達を励まし、 人々にキリストを述べ伝えるよう命じたから、彼らはイエスの復活の証人となり、 数々の迫害にも関わらずキリストの福音を述べ伝えるようになったのである。 復活したイエスを見たのは1人や2人ではない。10人以上の者が見ている。 | |
(2) | 使徒パウロ |
パウロは最初イエスの復活を信じず、イエスを信じる者達を迫害していた。
パウロが彼らを逮捕しようとダマスコに向かっていた途中、
復活したイエスがパウロに「なぜ私を迫害するのか。
私はあなたが迫害しようとしているイエスである」と語り、パウロは目が見えなくなった。
イエスはパウロに「起きて町(ダマスコ)に入れ。
そうすれば、あなたのなすべきことが知らされる」と言った。
パウロは三日間目が見えず、食べも飲みもしなかった。 ダマスコにアナニアというイエスの弟子がいた。イエスは幻の中でアナニアに 「ユダの家にいるパウロを訪ねよ。パウロは、幻でアナニアという人が来て、 元通り目が見えるようにしてくれるのを見たのだ。」と言った。 パウロはアナニアの働きにより目が元通り見えるようになり、 その後、数々の迫害にも関わらずキリストの復活を述べ伝えるようになった。 パリサイ人であり、イエスの復活を信じず、 イエスを信じる者達を迫害していたパウロが、 なぜ今度は正反対にイエスの復活を述べ伝え、 迫害を甘んじて受けるようになったのか。 それはパウロが本当に復活のイエスに出会ったからである。 (パウロの伝道に同行したルカにより、パウロの活動が使徒言行録に記録されている。 パウロは各地に伝道に行き、さらに、彼が伝道した地の人々他に手紙を書いており、 それが各地の人々(あるいは教会)に保存されていた。これらの手紙の内容と、 パウロの活動が記録されている使徒言行録の内容とが一致していることから、 使徒言行録の記述は信頼性がある。) | |
イエスが十字架につけられるまで従った人々、 及びイエスに反対してイエスに従う者を迫害していた人、つまり立場の異なる人が、 共にイエスは復活したと証言していることから、イエスの復活は真実である。 |
5-5 信じない民は裁かれた |
5-6 イエスの真実=神の真実 |